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自分にとって一番良い債務整理手続について平塚の弁護士が解説 <その①任意整理編>

2020.07.21 Tue by INAGAKI LAW OFFICE

借金を返すのが厳しいので,何とかしたい。
でも,どんな手続があるのかわからないし,どの手続が良いのかもよくわからない。
といった方もいらっしゃるかもしれません。

そこで,このコラムでは,そのような方に,一般的な債務整理手続について3つご紹介していきたいと思います。


目次

1.一般的な3つの債務整理手続~任意整理・個人再生・自己破産~
(1)任意整理
ア 任意整理のメリット
① 労力的・コスト的・時間的負担が少ない
② 任意整理を行う業者を自身で自由に選定可能
③ 支払終期が明確になる
④ 借入理由不問
⑤ 官報に掲載されない
イ 任意整理のデメリット
① 決めなおす返済条件には限界がある
② ブラックリストに載る

(2)個人再生 <その②個人再生編>
(3)自己破産 <その③自己破産編>
2.まとめ


 

1.一般的な3つの債務整理手続~任意整理・個人再生・自己破産~
債務整理とは一般的に①任意整理②個人再生③自己破産のいずれかの手続をとることにより,経済的な立ち直りを目指すことです。
場合によっては,これらの手続以外の方法で行うこともあるかもしれませんが,ここでは省略します。
以下では,それぞれの手続の特徴を解説していきます。

(1)任意整理
任意整理とは,貸金業者と交渉し,返済条件を決めなおすことで,経済的な立ち直りを目指します。

ア 任意整理のメリット
① 労力的・コスト的・時間的負担が少ない。
交渉による私的解決を目指すため,裁判所に申し立てる法的手続ではありません。
そのため,自身の財産状況を示す書類等を収集したり,それらをまとめた申立書を作成したりする必要がありません
そのため,労力的負担は他の二つに比べ,圧倒的に軽減されます。

手続費用も,他の二つは数十万円以上ですが,任意整理の場合は,1社あたり数万円程度(弊所の場合は基本4万円+税)です。
業者が少なければ,コスト的負担も軽い手続ということができます。

さらに,他の二つは,手続が終わるまでに,どれだけ早く行っても半年以上,場合によっては数年かかります。
任意整理の場合は数か月程度で交渉がまとまることが大半です。そのため,短期間で行える手続ということになります。

② 任意整理を行う業者を自身で自由に選定可能。
他の二つであれば,手続を採るか採らないかの2択であり,採る選択をした場合は,原則として借入業者を同一に扱わなければなりません。
そのため,例えば,自動車のローンが残っていても,原則として返済を継続できません。
自動車の所有権がローン会社に留保されているような場合は,自動車の引き揚げに応じなければならなくなります。

任意整理の場合,対象業者を自由に選定できるため,このような自動車ローン会社を任意整理の対象業者としないという選択ができます
そのため,自動車の引き揚げ要求などされることなく,これまでどおり,自動車を乗ることができるのです。

③ 支払終期が明確になる
債務整理を行わない場合,完済するまで業者に対して利息を付して支払わなければなりません。
そのため,いつ完済できるかの目途を立てるのが困難となることが多いと思います。

任意整理を行うと,返済条件を決めなおしてからの利息については,免除される場合が圧倒的です。
そのため,いつ返済が終わるかが明確になります

④ 借入理由不問
他の二つの手続を行う場合,なぜ,借金をして,なぜ,返済が困難となったのかについて書面で提出しなければなりません。
その理由の如何によっては,借金が免除されない可能性も否定できません。

任意整理の場合,業者との交渉の中で,借入理由について問題となることはありません
そのため,弁護士にも借入理由について深く話すといったことすらしなくても良いかもしれません。

⑤ 官報に掲載されない
他の二つの手続を行う場合,その手続の開始決定などの裁判所の決定については,官報に掲載されます。
業種的に,官報を毎号チェックしている会社にお勤めの場合,会社に知られてしまう可能性が極めて高くなります。
会社の規定に抵触すれば,勤務を継続できなくなってしまう可能性も否定できません。

任意整理の場合,これを行っても,官報に掲載されることはありません
そのような会社にお勤めの方も会社に知られることなく,手続を採ることが可能となります。

なお,多くの人や多くの会社は毎号官報のチェックを行ってはいないように思われます。

イ 任意整理のデメリット
① 決めなおす返済条件には限界がある
任意整理は,業者との交渉のため,基本的に返済金額の大幅な減額は困難です。
また,返済期間についても限度があります。
もちろん,業者によって異なりますし,その事案によっても異なりますが,通常よりも短期間でないと交渉成立しないこともあり得ます。
債務額が大きい場合などは,毎月の返済金額が減少したとしても,余裕をもって支払える金額までの減額が難しい場合もあります。
結果的に,任意整理では経済的な立ち直りが不可能という場合も少なくありません。

② ブラックリストに載る
どの債務整理手続にも共通することですが,債務整理を行うと,いわゆるブラックリストに掲載されます。
そのため,今後は一定期間,クレジットカードを作成したり,ローンを組んだり,保証人となることが難しくなります

  自分にとって一番いい手続を教えてほしい<その②個人再生編>に続く

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